フェニクシー施設「toberu 1号館」と「toberu 2号館」(設計者:大西麻貴、百田有希)が、第10回 京都建築賞の最優秀賞を受賞しました。優秀賞には「京都東山計画(山荘 京大和・パーク ハイアット 京都)」等2件が選ばれました。京都建築賞は、京都の歴史的文脈を踏まえつつ創造性の高い建築作品を表彰し、その活動と業績を広く社会に伝えることで、京都における建築の更なる継承・発展に資することを目的としています。同賞は、一般社団法人京都府建築士会の創立60周年を記念して2012年に創設され、今年で10回目を迎えます。これまでの受賞作品には「京都市京セラ美術館」や「ザ・リッツ・カールトン京都」、「サントリーワールドリサーチセンター」、「ロームシアター京都」等が含まれます。
■「toberu 1号館」「toberu 2号館」概要
- 建主:SK Impact Fund Japan, LLC(代表:久能祐子)、株式会社フェニクシー
- 設計監理:一級建築士事務所 大西麻貴+百田有希/o+h
- 施工:要建設株式会社
- 竣工:2019年5月(1号館)、2021年5月(2号館)
■ 写真:toberu 2号館
2号館コンセプト:間口が狭く奥行きの長い敷地であったため、中央に奥行きの深い通り庭を通すことにしました。数ヶ月の間ともに暮らす場として、互いの様子が通り庭を介して感じられる場としています。中央には皆が集まる奥庭としての大きな吹き抜けがあり、トップライトから光が差し込みます。通り庭と奥庭に面する壁、床などには光を反射する素材を使うことで、トップライトからの光を受けて空間全体が柔らかく反射する空間とし、同時に季節に合わせて風の通り抜ける環境を作っています。鴨川を眺めて佇んでいると、ふいにアイディアが浮かんでくることがあるように、建築でありながら自然を感じさせるような建築です。建築の奥に、外にある現実の屋外空間とは異なる「夢のような外」とでもいうべき空間があることを目指しています。
■ 写真:toberu 1号館
1号館コンセプト:かつて京町家の奥庭がコミュニティの場となっていたように、その内側には、外界からは想像できないほど奥行きのある空間が広がっています。それは、滞在者たちの創造の泉となる宇宙のような閉じられた空間。自然光が落ちるほの暗い空間のなかで、さまざまな創造性が醸成されていきます。大勢で集まる祝祭的なとき、少人数でぐっと集中するとき、ゆったりと日常生活を送るときなど、共同生活のさまざまなシーンによって多様な空間が立ち現れます。